2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

冬の日記

何をしても裏目に出た日の帰り。 駅を出て、幾つもの小さな通りが交叉する往来の角をひとり折れ、我が家へと向かう帰り路、夕暮れの気配に降られるやうにやって来る、暗色の制服に身を包んだ高校生らに混じり、喪服姿の老女たちのそぞろに歩いて来るのを、わ…

巨大建造物と私

私はたくさん殺した。あるいは、誰も殺さなかったのかも知れない。正直なところ、記憶が曖昧なのだ。私は幼女を守り、家まで送り届けた。私にはもう一人、 相方が居た。いや、二人だっただろうか。すまない、もう思い出すことはできない。私は灰色の海に面す…

止まらない扇風機

殺風景な部屋で目を覚ます。眠っている間中、扇風機が回っていたらしい。 足の指で電源スイッチを押す。 しかしプロペラは止まらない。 怒りまかせに白いプラグを引き抜くも、それでもジャイロは回り続ける。 私は調査し、そして事実を知った。 いち扇風機の…

痛みへ捧げる断章

かつて砂駱駝は言っていた。「最悪とは、自分の絶叫に気づかないまま終わることだ」と。今また、それを思い出していた。息は、どこまで持つだろうか? しかし、声を漏らすのだ。言葉を、思い出すのだ。私が踏みにじった者たちよ、すまない。本当に、すまない…